アブ・シンベル大神殿 |
手荷物検査を受けてゲートを抜けると、目の前に10階建てほどの高さの土山が現れる。どうやら、この「盛り上がり」が神殿らしい。ぐるっと回り込むと、正面入り口が見えてきた。
「ずいぶん遠くまで来たもんだ」。旅行チラシやガイドブックで見た大神殿の実物が、いま目の前にある。長い旅路と時差ぼけのせいで、霧がかかったようにモヤモヤしている脳に、ようやく感慨が沸き上がってきた。
大神殿は紀元前1200年ごろ、ラムセス2世の時代に造られた。しかし造営の目的や、首都テーベ(現在のルクソール)から遠く離れたこの地が選ばれた理由は、未だに分かっていないという。
現在の大神殿は、周囲三方をナスル湖に囲まれている。実は1960年に始まったアスワンハイダムの建造で水没の危機にさらされたが、ユネスコの支援を受けて湖畔に移築されたのだ。約1000のブロックに切り取り、アーチ型の山の内部に張り付ける作業は「あまりの規模の大きさに圧倒される」ほどだったらしい(吉村作治著『ピラミッド文明・ナイルの旅』)
内部は5〜6㍍ほどの高さの大部屋に、いくつかの小部屋が付属する造り。立ち並ぶ石像に迫力があるほか、壁という壁に施された彫刻や絵画が、費やされた労力と時間を物語っている。今回の旅で見た遺跡の中で、ベスト3に入る逸品だった。
大神殿前でヨガをするグループ |
大神殿前の広場では、人々が思い思いに時間を過ごす。「そこのベンチで夜を明かした」と話してくれたのは、関西からやってきた大学生3人組。砂漠で野営していたところ、「危険だから」と警察に連れてこられたという。たくましいのやら、危なっかしいのやら(笑)。目を移せば、西洋人グループがヨガをしていた。セミナー好きな国民性を持つ、アメリカ人たちかな?
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