トルコ屈指のローマ遺跡「エフェス」は見応えがある。もっと実感に基づいて言うなら「歩き応え」と言った方が正確かもしれない。とにかく規模が大きくて、水を持たずに敷地に入ったら、エーゲ海沿岸の強烈な陽光を受けて危うく蒸発しそうになった。
イスタンブールから、飛行機でトルコ第3の都市イズミールへ。この航空路線は30分〜1時間に1本という頻度で出ている。その引っ切りなしに運行する様子には、日本の電車山手線や地下鉄御堂筋線を思い出した。
イズミールから1時間弱、電車に揺られセルチュクに。そこからはバスで遺跡に向かう。車中で知り合ったトルコ人の1人は、兄弟がナント20人もいると教えてくれた。そのときは1人の母親が20人全員を生んだのかと思ったけど、思い返すと父親に奥さんがたくさんいるということなのだろう。20人兄弟なんて——。一夫多妻制のイスラム圏にいるのだ、という実感が沸いてきた。
トルコの観光施設はどこでもそうだけど、入場料の支払いはクレジットカードが使える。旅行者には、両替の手間が省けてうれしい。
ゲートを越えてしばらく歩くと、左手に山が見えてくる。よく見ると山肌に石がびっしり敷き詰められている。これがエフェス遺跡最大の見所、大劇場だ。観客席は急勾配で、上るのもひと苦労。立ち入り禁止の上半分も含めると、2万4000人もの収容人数を誇ったというのもうなづける。
劇場遺跡の定番、真ん中の舞台でポンポン手を叩く仕草をしてみてた。「お〜、やっぱり素晴らしい音響だなあ」とひとりごちる。
大劇場を起点に、遺跡は二つの方向に延びる。一つは幅11㍍、長さ500㍍の大通り。敷き詰められている石畳が、年月を経て光沢を帯びている。これまでに一体、何人の人がこの上を歩いたんだろう。石畳の下をのぞくと、どうやら水道管の跡らしいものが見えた。
もう一つは、大劇場の裏山の斜面に沿って広がるエリア。ここの見所はなんといっても「図書館」。丸みを帯びた柱や壁の装飾は壮麗で、敷地内の他の遺構とは一線を画している。エジプトのアレキサンドリアもそうだったように、地中海沿岸で栄えた文明は知恵を重んじて図書館を大切にしていたんだ——とあらためて思う。
遺跡を訪れる観光客も実にさまざま。地球の歩き方で「トラヤヌスの泉」と紹介されている遺構をながめていると、後から来た西欧人たちは「トライヤーノ」と呼んでいた。イタリアかスペインの人たちなんだろうか?
と、こんな感じでローマ文明が誇る土木技術を、この遺跡ではまさに身体全体で感じられました。ローマ好きにはたまらない、オススメの旅先です。
あと繰り返しになりますが、真夏に行かれる方は必ず水を持って敷地に入ってくださいね。
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