2011年2月28日月曜日

アカデミー賞にチャチャ入れる

 「英国王のスピーチ」が米アカデミー賞の作品賞を取った。受賞の知らせを聞いたその足で、早速、映画館に向かった。出演者の顔のどアップを多用するカメラワークとか、オシャレなセットとかに興味を持ったんだけれど、それらよりも目を(耳を)引いたのが「音楽」だった。
 簡単にあらすじについて触れておくと、舞台は第二次世界大戦期の英国。国王のジョージ6世は、今にも迫り来るナチスドイツへの徹底抗戦を、スピーチを通して国民に訴える。言語療法士ライオネル・ローグの助けを借りて、吃音という障害の克服に挑む姿を描いている。
 山場であるスピーチシーンの見せ方が工夫していた。ライオネルを指揮者、ジョージ6世を演奏者に見立てて、スピーチを「演奏会」として見せたのだ。音符に置き換わった言葉は、抑揚や強弱、そして小休止までもが音楽としての力を与えられ、演説にみなぎる気迫が映画の聴衆にまで伝わる仕組みだった。
 ここでBGMとして使われていたのが、ベートーベンの交響曲第7番第2楽章。「なんと良いセンス。演説の言葉を引き立てつつ、音楽自体にも力がある」。
 次にスピーチ後のホッとした感を伝えるときのBGMとして、これもまたシーンにぴったりの曲が流れた。ベートーベンのピアノ協奏曲第52楽章。でも、この曲名を思い出したあたりで、ハッと我に返った。
 ドイツと戦うぞ、と気合いを入れているまっ最中に、ドイツを代表する作曲家の音楽を流してよいものだろうか?それってありなの?

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